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カーボンニュートラルプロジェクトストーリー
セメント・コンクリートの新時代を支え、 持続可能な社会を実現する。
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Project Member
プロジェクトメンバー
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Sさん
営業本部 ソリューション営業部
電子・原子力営業グループ リーダー
カーボンニュートラルプロジェクトチーム リーダー
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Tさん
中央技術センター
ソリューション技術部
評価技術グループ サブリーダー
カーボンニュートラルプロジェクトチーム サブリーダー
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プロジェクトチームが発足。
国は2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル2050」を宣言。その実現に向け、日本産業が動き出す中、コンクリート業界も対応が求められた。コンクリートの材料であるセメントはその製造過程で大量のCO₂を発生させてしまう。また、普段使用される重機の稼働時や物の輸送時、構造物を作った後の何かしらの生産活動の過程や最終的に解体まで目を向けるならば、ライフサイクルの視点でCO₂の排出課題を解決していかなければならない。こうした背景の中、カーボンニュートラル関連事業はビジネスチャンスであり、新規事業テーマとしての立上げが求められ、2022年7月にカーボンニュートラルプロジェクトチームが発足。ところが、全社から集められたチームメンバーのカーボンニュートラルに対する知識はまちまち。それでも、我々がすべきことは明確だった。CO₂量を正確に測定すること。CO₂の排出量取引が成立するようになり、CO₂が資源として扱われるようになった時には、必ずCO₂量を正確に測定する技術が求められる。しかし、コンクリートやコンクリート構成材料に固定化したCO₂量を測定する方法は確立されておらず、基準化もなされていなかった。試験、分析を専門とする我々の知識と経験がカーボンニュートラルを目指す社会に貢献できるチャンスだと思った。そして、周辺ではCO₂排出量削減のための材料開発も行われていた。それら新材料をコンクリートとして活用するための評価技術も必ず必要だと考えた。分析とコンクリート、中央技術センターと西日本技術センターという組織の垣根を乗り越え、プロジェクトチームは社内横断的に知見を共有し、互いに手を取り合うこととなった。
project team
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常に進化していく。
大前提として、コンクリートには「期待されるスペック」がある。セメントの製造方法が変わることで、そのスペックが落ちてしまっては元も子もない。製品のスペックが期待値通りに維持されているかを調べ、不具合があるのであれば何が原因なのかを解明する必要がある。今までと製造方法が変化するなら、それらを分析調査する側も技術を向上させ、適正な評価をする力が求められるのだ。当初は手探りだった。社内で過去に蓄積されてきた知見はあったものの、それが本当に正しいとは限らない。自分たちの手で進めていく中で新たな気付きがあったことも事実だ。プロジェクトを通して新しい発見をし、顧客と関わる中で少しずつ経験を積み、今も技術を学び続けている。分からない、できないなんてことは言いたくない。常にトップの技術力を目指している私たちは進化し続けることを求められている。
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技術力の均質化とコミュニケーションの促進。
分析の拠点は千葉県佐倉市と山口県山陽小野田市の2箇所。大体、同じ装置を使って分析しているはずなのに測定結果にばらつきが生じてしまうことがあった。また、標準とする分析手法は全て手作業(湿式化学分析)であり、それができる技術者が数名しかいなかった。加えて、情報共有をし合うような機会もなかった。各事業所の熟練の技術者が持つ暗黙知のようなものがあるが、それがなかなか共有されない。そんな中、プロジェクトチームは湿式化学分析と機器分析の基本的な手法を固め、一定の技術力の均質化を図った他、技術者が互いの事業所を行き来し、口頭だけでは伝わりきらない分析技術や実際に操作しているところを見て学び、相談やアドバイスをし合う環境を徐々に作っていった。
Technical Capabilities
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国際規格を目指して。
プロジェクトチームは東京大学を中心とした「コンクリートにおけるCO₂固定量評価の標準化に関する研究開発」チームに参画。このチームでは、国内での評価方法に関するJISを作ることを第一としつつ、そのままISO国際規格にまで繋げられるものにすることを目指して、日々邁進している。その活動を通して、様々な機関の方との繋がりができた。東京大学が主導するチームには他にも5つの大学、分析機器のメーカーも参画してひとつのコンソーシアムになっている。他にも同様のコンソーシアムがいくつかあり、それらとの連携も取っている。カーボンニュートラルプロジェクトが発足していなければ、この広い連携の一員として加わることは難しかった。
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「まずは、太平洋コンサルタントに相談してみよう」。
世間がカーボンニュートラルに高い関心を持ち始める一方で、セメントやコンクリートを扱う企業の中には対応に困っている人もいる。太平洋コンサルタントにはそういった方々から、まず何から手をつけ、どう取り組んだら良いのか講演して欲しいと依頼がくるようになった。カーボンニュートラルに取り組む前に、『太平洋コンサルタントに聞いておけば何とかなるのでは』といった印象が徐々に浸透しつつあると感じる。また、資源が少ない状況下でもカーボンニュートラルに対応しなければならず、困っている中小企業も多い。そういった困りごともグループ会社全体で連携して、細かく吸い上げ、貢献していきたいと考える。顧客への提案力向上もチャレンジだ。依頼された通りに評価を行うだけではなく、新しい商材の紹介や顧客ニーズに合わせた提案ができるような会社になっていきたい。
カーボンニュートラル関連 コンサルティング
様々な分析や評価方法を駆使し研究・技術開発をトータル的にサポート
carbon1
CO₂固定化に関する評価
ニーズ合わせた分析/試験方法を評価・提案します
carbon2
CO₂固定化コンクリートの評価
従来製品と同等以上の性能であるかを評価します
carbon3
CO₂排出量/削減量の評価
環境負荷低減効果を定量評価します
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世界をリードする。
日本でも本格的に運用が始められようとしている「CO₂の排出量取引」。プロジェクトチームは排出量評価の面でも顧客ニーズに応えることができる。他にも、これまで培ってきたノウハウとプロジェクトを通して新たに知り得た知見を活かした材料設計を行うとともに、積み上げてきた知見はコンクリート構造物のCO₂削減に繋がるのではないか。そして、CO₂固定量を適正に評価できるようにすることで、品質の良い環境配慮型材料が構造物に使われる未来に貢献したい。分析と評価技術の分野で世界をリードするプロフェッショナル集団―『セメント・コンクリートの分析なら太平洋コンサルタント』と思ってもらえるような企業を目指していきたい。
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ともに、未来を創る。
セメント・コンクリートのことを全く知らなくても、何年か携わるうちに経験と知識は自然と身に付いてくる。努力はもちろん大事だが、事前の知識があるかないかは関係ない。大切なのは熱意だ。一方で学生時代から長年コンクリートに取り組んできたとしても尚、新しい発見に出会うことがある。顧客が抱える課題や目の前に壁が立ちはだかる度に、自分たちが持つ技能や知識でひとつひとつ解決していくことは非常に楽しい。喜びは課題解決に至るまでのプロセスだけでなく、解決に至った際のお客様からの感謝の言葉。それが何よりの成果だ。私たちはただ研究をするわけではなく、顧客のためのコンサルタントでありたい。カーボンニュートラルについては、まだまだやれることがある。まだ気付けていない点や、もしかすると今後の過程でまた違う形での模索が求められることも出てくるかもしれない。次世代の方の新しい視点や積極的な意見がこの仕事に活きるかもしれない。未来は読めない、それだけ未知の可能性を秘めている。だからこそ広い視野、新しい視点で多角的に物事を見ていく力が今後必要になってくる。新しい風を起こしてくれる人が、仲間になって一緒に未来を創っていってくれることを望んでいる。
future carbon